薬剤師がスキル&キャリアアップする方法の一つとして認定薬剤師の資格取得があります。
認定薬剤師をさらにステップアップすることで取得できる専門薬剤師の資格も合わせると、現在その種類は30種類以上。
医学・薬学が進歩していき、さらに複雑化していく中で薬剤師にも専門的な知識や技術が求められていきます。
今回は転職にも断然有利になる専門・認定薬剤師について詳しく解説していきます!
そもそも専門薬剤師と認定薬剤師って何が違うの?
認定薬剤師は知ってるけど、専門薬剤師って正直そんなに知らないんだよね…。
という方も多いのではないでしょうか?
専門薬剤師は認定薬剤師の資格取得後、さらに学術・研究活動を行った上で試験に合格することで取得できます。
専門薬剤師の中には認定薬剤師を経ることなく取得できるものもありますが、大抵が認定薬剤師資格の上位資格になります。
資格によっては専門薬剤師からさらに上位資格の指導薬剤師といった資格が取得できるものもあり、さらなるキャリアアップにつなげることが可能です。
多種多様な専門・認定薬剤師!分野別にまとめてみた
前述のとおり専門・認定薬剤師は現在30種類以上存在します。
その多くが病院薬剤師に関係する資格ですが、中にはドラッグストア勤務や調剤薬局勤務だからこそ持っておきたい資格も。
今回は分かりやすく分野別に一部まとめてみました。
多領域の知識・技能に役立つ資格
- 研修認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)
研修認定薬剤師制度のもと、倫理・基礎薬学・医療薬学・衛生薬学及び薬事関連法規・制度など日々の学びにおける成果について客観的に評価するための資格です。 - 日本医療薬学会認定薬剤師/日本医療薬学会指導薬剤師(日本医療薬学会)
医療薬学分野における実務経験に基づいた一定水準以上の知識・技能を兼ね備え、さらに学術活動・研究活動の実績を有する薬剤師を認定するため、1998年に発足した認定薬剤師制度。
今では数ある認定薬剤師の先駆けになった資格です。 - 日病薬病院薬学認定薬剤師(日本病院薬剤師会)
医療が高度・多様化し、チーム医療が推進される中で薬物療法における主体的な役割を果たすことができる薬剤師を養成するために発足した認定資格です。 - 薬物療法専門薬剤師/薬物療法指導薬剤師(日本医療薬学会)
チーム医療の中で様々な分野の薬物療法に精通、実践できる薬剤師を養成するために発足した専門薬剤師資格です。
悪性腫瘍に関する資格
- がん専門薬剤師/がん指導薬剤師(日本医療薬学会)
近年増加するがん患者と高度化するがん治療に専門的な知識を持って対応できる薬剤師を養成し、良質かつ適正な抗がん剤治療を行うために発足した専門薬剤師資格。
薬剤師の資格としては唯一、医療法上広告が可能であるというメリットがあり、がん治療を専門としている病院には欠かせない存在となっています。 - がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会)
がん治療の専門知識と技術を兼ね備え、抗がん剤等の薬物療法におけるスペシャリストを養成する目的で発足した認定薬剤師資格です。
2018年の日病薬近畿ブロック会議で上位資格の創設検討が決定し今後の発展に注目されています。 - 外来がん治療認定薬剤師(日本臨床腫瘍薬学会)
外来がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得し、地域がん医療において患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師の養成を目的として発足した認定薬剤師資格です。 - 緩和薬物療法認定薬剤師(日本緩和医療薬学会)
主にがん治療に伴う痛みの緩和ケアを目的とした医療チーム内において、薬物療法の専門知識を生かし患者の治療・緩和ケアを行う薬剤師を養成することを目的として発足した認定薬剤師資格です。
感染症に関する資格
- 感染制御認定薬剤師/感染制御専門薬剤師(日本病院薬剤師会)
感染制御の専門家として効果的な消毒薬や抗生剤の活用知識を持った薬剤師を養成することを目的として発足した認定薬剤師資格です。 - HIV感染症薬物療法認定薬剤師/HIV感染症専門薬剤師(日本病院薬剤師会)
HIV感染症治療における薬物療法の高度な知識・技術・倫理観を備え、患者の意思を尊重した最適な治療に貢献することを理念とし、HIV感染症に対する薬物療法を有効かつ安全に行うことを目的として発足した認定薬剤師資格です。 - 抗菌化学療法認定薬剤師(日本化学療法学会)
感染対策チーム(ICT)において抗菌薬のスペシャリストとして「感染症の種類や病態に応じてどの抗菌薬を選択し、どう使ったらいいのか」を実践する薬剤師を養成する目的として発足した認定薬剤師資格です。
腎疾患に関する資格
- 腎臓病薬物療法認定薬剤師/腎臓病薬物療法専門薬剤師(日本腎臓病薬物療法学会)
透析・腎移植を含めた慢性腎臓病(CKD)診療などの幅広い腎臓に関わる薬物適正使用の実践できる知識・技能を兼ね備え、専門性を生かした学術活動・研究活動の実績を有する薬剤師を認定するための資格です。
精神科疾患に関する資格
- 精神科薬物療法認定薬剤師/精神科専門薬剤師(日本病院薬剤師会)
近年多様化し増加傾向にある精神科疾患における薬物療法で高度な知識と技術を持ち、精神疾患患者の治療と社会復帰に貢献するため精神疾患に対する薬物療法を安全・適切に行うことを目的とした認定資格です。
産科・婦人科領域に関する資格
- 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師/妊婦・授乳婦専門薬剤師(日本病院薬剤師会)
妊娠・授乳期は特に薬物療法に関する高度な知識、技術、倫理観が必要となります。
母体の健康と母乳保育の利点に配慮し、胎児・乳児等への薬物有害作用に配慮した薬物療法を担う薬剤師を養成するために発足した認定資格です。
小児科疾患に関する資格
- 小児薬物療法認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)
小児科領域の医療チームにおいて医薬品に関わる専門的立場から小児薬物療法の高度な能力と適性を備えているだけでなく、患児とその保護者等に対しても適切な助言・行動ができる薬剤師の養成を目的とした認定薬剤師資格です。
救急医療に関する資格
- 救急認定薬剤師(日本臨床救急医学会)
日本臨床救急医学会が日本病院薬剤師会の協力を得て、救急医療における薬物療法に関する高度な知識・技術・倫理観を備えた認定薬剤師を養成し、最適な医療を提供することを目的とした資格です。
プライマリケア・在宅医療に関する資格
- プライマリ・ケア認定薬剤師(日本プライマリ・ケア連合学会)
近年、かかりつけ医や在宅医療など地域におけるプライマリ・ケアが注目されています。
第一次に健康面においてなんでも気軽に相談できる薬剤師としての役割を果たすのがプライマリ・ケア認定薬剤師としての資格です。
ドラッグストアや調剤薬局の薬剤師に人気。 - 在宅療養支援認定薬剤師(日本在宅薬学会)
プライマリ・ケアと同様、近年さらに注目され増えてきている在宅医療。
在宅医療専門の調剤薬局なども増えてきています。
そういった在宅医療に関わる薬剤師に人気の資格が在宅療養支援認定薬剤師です。
医薬品情報に関する資格
- 医薬品情報専門薬剤師(日本医薬品情報学会)
医療施設・地域医療・教育・企業・行政における医薬品情報の活用を通じて、広く医薬品の適正使用を推進することを担う専門性を持った薬剤師のための資格です。
企業薬剤師に人気の資格になっています。
自分の環境に合った資格でキャリアアップを目指そう!
例えばドラッグストア勤務でがん専門薬剤師を取得するのは、症例の提出など非常に難しく、また取得後もせっかくの資格を生かしきれない可能性が高いです。
病院薬剤師・ドラッグストア・調剤薬局・企業薬剤師、それぞれの環境に合った資格を取得することで、患者に提供する技術の向上だけでなく自分のキャリアアップにもつながります。
また、資格を持っていることで転職に有利になったり、待遇面がアップすることも。
今回紹介した以外にも数多くの薬剤師資格があります。
キャリアアップを目指してどんどん資格取得を目指しましょう!