厚生労働省が発表している新規学卒者の離職状況によると、平成30年3月の新規大卒者の離職者の中で2番目に多い業種が医療・福祉となっています。
中でも薬剤師は転職率が高く、平均の転職回数も2~3回と多業種に比べて比較的多い職種です。
転職回数が増えてしまう要因としては生活環境の変化などもありますが、一度目の転職に失敗したと感じ、結局また転職活動をすることになったというのも少なくはないようです。
今回は薬剤師の転職に多い失敗のケースとその対策についてお伝えします。
薬剤師が転職に失敗するのは3つのタイミング
薬剤師が転職に失敗してしまうタイミングとして、大きく分けると3つあります。
1つ目は転職しよう!と思い立ち動き始めた時、2つ目は実際に転職活動を始めて求人票を見たり、転職サイトなどを活用している時、3つ目が実際に面接を受けたりして就職先を決定する段階まで来た時です。
分かりやすく言い換えると、転職の初期・中期・後期といった感じになります。
それぞれのタイミングで起こりやすい失敗とその対処法を具体例を挙げながら見ていきましょう。
転職初期.転職しようと思い始めた時
転職したい!と思ったからには何かしら理由があるはず。
その理由や転職した後のビジョンがこの段階ではっきりしていないと、失敗につながる可能性が高まります。
「転職したいと思っている段階で失敗するなんてするはずがない。」
と思っている方こそ、失敗しないために意識しなければならないポイントを押さえる必要があります。
ケース1.転職したい理由があやふや
「なんとなく」「特に不満はない」「~って聞いた」「友達が転職したから」という転職理由を挙げる方が多くいます。
このワードの中に、自分の意思や意見って見当たりませんよね。
その状態で転職すると転職前の不満や失敗を生かしきれず、結果失敗に繋がります。
また理由によっては今の職場のまま改善できる場合もありますので、一度分かりやすく『残業が多い・仕事量が多い』といったようにまとめてみることが大事です。
ケース2.自分なら何でもできると思い込み希望職種が不明確
薬剤師の資格さえ持ってれば何でもできるからとりあえず給料の良い所に転職したい!
薬剤師の仕事がどこに行っても一緒だと思っていたら大間違いです。
細かく言えば、調剤薬局と調剤併設のドラッグストアでも仕事の内容は変わってきます。
ドラッグストアの場合、調剤薬局では無かったOTC医薬品の服薬指導や、時間帯によっては通常のレジ業務なども行う必要があります。
病院薬剤師でも診療科目が違ったり、病床の規模によっても仕事が大きく変わってきますし、企業薬剤師の場合は企業の業種によってその職種は多岐に渡ります。
そうすることで前もってその職種について調べることができ、転職前に知識などのの準備をしておくことができます。
思い込みの知識のまま転職するとミスマッチングに繋がります。
事前に情報収集するためにも希望職種を明確にしておく必要があります。
転職中期.転職に向けて動き始めた時
転職することを決意したら、次は具体的に転職活動に入ります。
求人情報の収集や友人・知人からの情報収集、転職サイトの活用など方法は様々。
実際に転職する薬剤師の中で一番失敗しやすい時期でもあります。
求人選びで失敗しやすいケースを見ながら対策していきましょう。
ケース3.友人・知人の紹介を受ける
給与面や勤務時間などよく聞かないまま働き始めてしまった。
多くの調剤薬局やドラッグストアでは人手不足な場合が多く「転職したい」と他で働く薬剤師仲間に一言つぶやけば「じゃあ、うちに来れば?」といった声も多く掛けられるのではないでしょうか。
実際に働いている人から情報収集するのはもちろん良いことなのですが、紹介で就職するとなると話は違ってきます。
人手不足でとにかく誰か来て欲しい!という時、わざわざ職場の悪い点を伝えたりしませんし、紹介で就職した手前、辞める時も辞めづらいですよね。
話を聞いたうえで転職先の候補に入れる場合でも、紹介してもらうのではなく、転職サイトなどを通じて自分で応募するようにしましょう。
ケース4.1つの方法だけで求人を探す
毎週ハローワークに通っているけど、新しい求人が全然増えない。
転職サイトに限らず、ハローワークでの求人票のチェックなど、求人の情報収集には様々な方法があります。
転職サイトの場合、コーディネーターやエージェントなど担当者がつくことが多いのですが、ほとんどが専任制で登録から転職までを同じ担当者が対応します。
担当者も人間ですので、合う合わないが出てきてしまうこともあります。
また、ハローワークで求人探しをする場合、求人票だけでは分からない部分も多かったり、求人に偏りがあることも。
転職サイトに登録する際は、最低でも2サイト以上に登録しましょう。
サイトによって持っている求人も違いますし、担当者も全く違います。
登録するサイト数に決まりや縛りはありませんので、できるだけ多くのサイトから情報収集することをおすすめします。
ケース5.サイトや求人票だけ見て実際の情報収集が乏しい
一日の処方箋枚数が多いのに薬剤師が少なく、毎日残業ばかりさせられる。
転職活動の際、サイトや求人票だけを見て転職先を決めたりしていませんか?
「みんな仲良く働きやすい職場です」「アットホームでなんでも言いやすい環境です」といったワードを鵜呑みにして、実際に働き始めたら全く違ったなんてことはよくあること。
また、前もって立地条件や競合他店を把握せず、入ってみたら処方箋枚数が多かったり、薬剤師の在籍数は多く書かれていたのに、自分が働く時間帯に働ける薬剤師の数が少なく、残業が当たり前になってしまったなんてことも。
その際、働いている薬剤師の人数や年齢、性別を見るだけでなく、患者への対応の丁寧さなども見ます。
事前に職場見学を申し込むと、調剤室の中なども見せてくれる場合がありますので、薬歴記載の仕組みやレセコンの機種なども確認できます。
なかなか見学しに行く時間が無いという方は、転職サイトの担当者を通じて自分が見てきて欲しい所をきっちり見てきてもらうようにしましょう。
転職後期.面接から内定承諾まで
自分の希望条件をはっきりさせ、それにあった求人を見つけることができたら、後は面接を成功させて内定をもらうだけ。
ですが、そこにも落とし穴があるんです!
最後だからといって気を抜かず、しっかりチェックする必要があります。
ケース6.面接で言っていたことと実際の契約内容が違った
上司に確認したら「契約書には残業15時間までと書いてある。」と言われた。
面接が上手くいき、内定をもらったので承諾し、雇用契約書にサラサラっとサイン。
働き始めたら面接時に言っていたことと全然違った!なんてことも実際にはあるようです。
よくよく雇用契約書を見直してみると、面接時には言っていなかった「転勤あり・夜勤あり」といった記載がされていたという事例も。
面接は録音や録画がされているわけではありませんし、言った言わないの水掛け論になってしまい、トラブルになってしまう可能性が高いです。
転職サイトによっては、担当者が面接に付き添ってくれるところもあります。
内定をもらったことに喜んでついつい契約書をきちんと読まずにサインしてしまったということが無いように、しっかり読むようにしましょう。
転職に失敗しないために転職サイトをフル活用しよう!
転職活動を1人で行うのも悪くはないのですが、どうしてもちょっとしたミスで失敗しやすい傾向にあります。
途中で触れましたが、転職サイトにはエージェントやコンサルタントといった専任担当者がついてくれる場合がほとんど。
担当者は求人を紹介してくれるだけでなく、実際の職場環境の調査や面接などの日程調整、給与面や待遇面などの交渉も行ってくれます。
1人で転職活動をしているとついつい見逃しがちな細かい所に気付いてくれたり、ハローワークには出ていないサイト独占の好条件な非公開求人も紹介してくれますので、どんどん活用して転職を成功に導きましょう!
特に職場に不満はないけど、転職すると年収上がるって聞いたから転職したいなぁ。