超高齢社会が迫ってきている現代で、在宅医療、在宅介護を受ける人が年々増加しています。この流れに伴い、地域医療チームに薬剤師が訪問薬剤管理指導として参加することの需要が高まっています。
この「在宅薬剤師」は効果と需要の高さから、参入に力を入れて取り組んでいる薬局も増加しています。この記事では、今後さらなる需要が高まるこの在宅薬剤師について目的や仕事の内容について詳しく紹介していきます。
訪問薬剤管理指導ってこんな仕事！
一般的な病院や調剤薬局であれば、患者が自ら医師から渡された処方箋を持って来局し、その場で処方・服薬指導をします。
対して在宅薬剤師の仕事は、患者の自宅や入居先に薬剤師が訪問し、薬を届け、管理することが在宅薬剤師にとって一番重要な業務となります。薬を自ら取りに行くことが困難な患者さんとその家族の負担を大きく減らすことが出来ます。
また、在宅医療を必要としている患者の多数は高齢者であるケースが多く、認知機能や身体的衰えより適切な薬の管理や服薬が困難となっています。そのような患者1人1人に対して薬学の知識だけでない手広く適当な対応を行うことが求められるのが在宅薬剤師の仕事の特徴となっています。
在宅薬剤師はやりがいのある仕事！
実際に、在宅薬剤師の導入にはどのような魅力がつまっているのでしょうか？具体的な在宅薬剤師の働きとその効果について紹介していきます。
ケース１ 複数の薬の飲み合わせに対して不安を抱いている患者
患者によっては症状に合わせ他の専門医に診察を受けることで、複数の病院から薬剤を処方されています。それらを適切なタイミングで服薬指導を行うことで薬の飲み合わせによる負の相互作用を防止することが必要です。
他にも、食事や排せつ、睡眠、汗、体調などを把握することで、副作用の確認や薬剤の検討、食べ合わせの提案を行います。
ケース２ 薬の内容・効果が正しく把握できていない患者
医師の診断時、薬局での薬の受け渡し時に薬の内容や効果についての説明は行われていますが、在宅医療では患者だけでなく患者家族、介護担当者など関わるチーム内で薬剤の情報共有が大切となっています。薬剤への専門的知識を持つ薬剤師への責任が高い仕事です。
またこの時、患者の症状や生活状況についても確認しより良い在宅医療を行う為の服薬計画・計画を立てます。
ケース3 薬が飲みこみにくい患者
飲みにくい薬だから服用を拒否されてしまっている。また、飲みやすいように粉々に砕いて飲む方もいるかもしれません、しかしそれは薬剤の働きを変化させてしまう可能性があります。
これを避けるためにも患者へのヒアリングを行い、嚥下補助ゼリーの導入や、同一成分でも異なる口の中で溶ける崩壊錠（OD錠）や粉末・液・ゼリー状への剤型変更を医師に処方提案を行います。
ケース4 飲む薬の数が多く飲み忘れが心配な患者
一度に飲む薬を一包にまとめたものを提供することによって、服用時の負担を減らせます。排便や体調確認により服用への判断をするものは、外側に貼りつけておくなどを行っています。
ケース5 薬の飲み忘れ・紛失を危惧する患者
認知機能や視覚機能の衰えに不安を抱えている患者に対し薬の飲みすぎや飲み間違い、薬剤の紛失を防ぐ必要があります。
そこで、お薬カレンダーやお薬BOXを提供することで管理をしやすいだけでなく、患者や患者家族などのチーム全体で服用のタイミングや服用したかどうかなどを把握しやすくします。さらに、薬包に色付けや印字を大きくすることで視覚で判断を容易にできる取り組みを行います。
このように、患者1人1人に対して手広く適当な対応を行うことが求められるのが在宅薬剤師の仕事の特徴となっています。
在宅薬剤師に求められるスキル
在宅薬剤師になるために、薬剤師の資格以外で特別な資格を取得する必要はありません。しかし、在宅薬剤師は上で紹介した通り病院や調剤薬局とはまた違う、手広い対応が必要な仕事となっています。この対応をスムーズに行う為には知識や経験はもちろん必要ですが、コミュニケーション能力も重要となります。
在宅医療はチーム医療
在宅薬剤師としての仕事は、地域医療チームの一員としての仕事となります。医療チームでは、医師や看護師、介護担当者、患者、患者家族での連携が大変重要となっています。この時に重要なのがコミュニケーション能力です。患者のケアプランや様態などの情報共有を行う際に適切な意見、説明を行うことが求められます。
そして在宅薬剤師としてチーム医療に参加することは、幅広い経験や知識の上昇はもちろんコミュニケーション能力の向上ももたらします。
「在宅療養支援認定薬剤師」について
在宅薬剤師の業務を行う際に、特別な資格は必要ないのですがぜひ認定を受けて頂きたいものがあります。それが「在宅療養支援認定薬剤師」です。在宅医療の支援に必要な経験と知識を備えた薬剤師であるという証になります。患者や患者家族、地域医療チームからの信頼を得るためにもぜひ検討してみてください。
在宅薬剤師になるためにすべきこと
今後、在宅医療を受ける患者は年々増加していきます。そのため地域包括ケアをより向上するため、かかりつけ薬剤師は重要視されています。それと同時に、かかりつけ薬剤師以上に患者の生活に寄り添って仕事をする在宅薬剤師は、患者と患者家族にとってより身近な存在になることができます。
在宅薬剤師の現状
本記事を読んで在宅薬剤師に興味を持った方もいるでしょう。しかし、残念ながら多くの薬局が在宅医療の導入を進めていきたい中、人手不足等の理由で従来の営業への支障を避けるため力をいれて取り組んでいる薬局は多くはありません。
在宅薬剤師としてスキルアップをするためには？
在宅薬剤師を経験して着実にスキルアップに取り組みたいと考える方には、薬剤師の転職サイトを利用していただきたいです。豊富な薬局の情報をもつアドバイザーに「在宅医療に対応している薬局」などの条件を提案することで貴方にあった転職先をみつけてもらうことができます！
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